解說: こちらは王様の執務空間、サジョンジョン(思政殿)です。 現在の時刻は辰の刻(たつのこく)、ですから、午前7時から9時の間です。 朝、クンジョンジョンで朝会を終えた閣僚たちが
各部処に帰って会議を終えた後 次々とクンジョンムンをくぐっていきます。
勿論、真ん中の扉は王様だけが出入りすることができるので 左右の扉を利用しました。
サジョン(思政)、すなわち、 考えてさら考えなさいという意味の名前を持つこの建物は ピョンジョン(便殿)、すなわち 王と閣僚たちが会議をしたり、儒学に関するセミナーをした所です。
1419年、世宗大王が閣僚たちとサジョンジョンで交わした対話です。
世宗: 今日で、大学演義をすべて読みましたね。 しかし、また読まねばならない。
官吏 1: チョナ(殿下)、読んで更にまた読むことが心から勉強することです。
世宗: いずれにしても、貧しい民のために救済事業をするようにと、言いつけたのだが うまくいっていないようじゃ。 各地方に監察を送って詳しい様子を見ようと思う。
官吏 2: まことによきお考えでございます。
解說: 朝鮮は「儒教」を信奉しました。
孔子の教えである儒学が学問で終わらずに 宗教になることができたのは 世の中を救う道を提示したからですが、 その方法はすなわち「政治」、言い換えれば、 正しい政治を通じて民に楽な暮らしをさせる統治なのです。 ですから 朝鮮の王様は、儒教の経典(きょうてん)である四書三経(ししょさんきょう)と歴史書につい て朝から一日三度ずつセミナーをしましたが、 これを「経筵(けいえん)」と言います。
左右に置かれた机の前で サグヮン(史官)とチュソ(注書)の二人が休まず、
王様と家臣たちの対話を記録しています。 これが世界記録遺産に登録された
「朝鮮王朝実録(ちょうせんおうちょうじつろく)」と 「承政院日記(しょうせいいんにっき)」です。
「チャングムの誓い」というドラマもこれらの記録からアイディアを得て製作されました。
「朝鮮王朝実録(ちょうせんおうちょうじつろく)」と 「スンジョンウォンイルギ(承政院日記)」には
記録者の名前を書きませんでしたし、 王であっても見ることができなくして 公平に記録することができました。 「サグヮンの上にはただ天のみがある。」という言葉は、 そのため 出きた話です。
冷たい風が吹く晩秋、 サジョンジョンの扉の前で、ネグヮン(内官)が案内をしていますよ。
内官: テガム(大監)(領議政=宰相)、 今日のケイエンはチョンチュジョン(千秋殿)でなさるそうでございます。
官吏1: なんじゃと?もう始められると?
内官: 朝夕風が冷たいゆえ、臣僚たちが病気にでもかかるのではないか心配だと、
おっしゃいました。
解說: オンドルのないサジョンジョンとは違い
両側のチョンチュジョン、マンチュンジョン(晩春殿)にはオンドルが敷かれていて床が暖か いのです。 ある日のチョンチュジョン、 末端官吏のク・ジョンジクの破格の昇進に関する討論の真っ最中です。
官吏 2: チョナ(殿下)、最下級の官職から何段階もプムゲ(品階)を一気にあげることは 理に叶っておりませぬゆえ、お取り下げくださいませ。
官吏一同: もう一度お考えくださいませ~。
世宗: そのように反対するのであるなら、私が直接お見せしよう。
ク・ジョンジクに入るようにと言いなさい。
内官: ク・ジョンジクに入るようにとお伝えなされ~。
世宗: 春秋(しゅんじゅう)を暗誦してみなさい。ク・ジョンジク: はい、チョナ(殿下)。
解說: ク・ジョンジクはその場で春秋を暗誦して見せました。
世宗: ここにいる臣僚たちの中で春秋をク・ジョンジクのように 暗誦することができる者がおるか?
このように一生懸命勉強する家臣にはもっと多くの機会を与えることが
よいことゆえ、プムゲ(品階)をあげて昇進させることに問題はなかろう。
解說: 世宗大王の人材の運営は 朝鮮の歴代の王様の中でも卓越しているという評価を受けていますが
ク・ジョンジクに下賜(かし)された昇進には、 数年間の勤務経歴と実績が必要だったため、破格の人事ではあります。 朝鮮の王様たちは、 いくら王だと言っても勝手にできる事はありませんでした。
家臣たちとの討論を通し、妥当な根拠を提示して同意を得なければなりませんでした。
そのすべての過程が行われた所、それがまさしくここ、サジョンジョンです。
あ、そうそう! ク・ジョンジクと世宗大王との特別な縁については 「キョンフェル(慶会楼)」で詳しくお話しいたします。ご期待ください。
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