ここは翠寒亭(チゥィハンジョン)です。
玉流川の入口から一番近いところにあるあずまやなんです。
昔はこのあずまやの周囲に松がびっしりと繁り、夏でも寒さを感じるほどだったといいます。
朝鮮の19代の王・肅宗(スクチョン)は「翠寒亭(チゥィハンジョン)を題して詩を詠む」という詩で、翠寒亭(チゥィハンジョン)の周辺の緑の木や森を題材に夏の景色を詠いました。
この詩では、あずまやを取り巻く常に碧々と繁る木々や森を、学識や徳の高い人物の終始一貫した心がけに喩えているんです。
緑の木や美しい花が真に鑑賞するに値し、
欄干の向こうから絶えず滝の音が聞こえる。
夕立が過ぎて風がひととき止んだら、
庭園の葉の間から蝉の声が聞こえる。
びっしりと聳えてあずまやを取り囲んだ木々を見ると、吹雪の寒さを耐え抜いたせいか、その光はより一層澄んだ輝きを放っている。愛らしい汝、お前ひとり君子の節介を堅く守り、平らかなときも険しいときも、変わることなく一心にまっすぐ伸びたのだな。
翠寒亭(チゥィハンジョン)の上の方にある玉流川逍遥庵の付近には、王の井戸がありました。
今では石で造られた蓋だけが残っています。
後苑を散策した帰り道に、井戸で喉を潤し、ここでひととき休んで暑さを忘れた王様の姿が想像できますか?
扇風機もエアコンもなかった時代には、蒸し暑い夏の日なら自ずとここを訪れることでしょうね。